俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~

 具合が悪くなったとはどの程度なのか。処置を受けるというが、まさか早産になるのか。様々な状況が考えられ、心配で胸が押し潰れそうになった。

 しかし、PCIができるほかの医師の手が空いていない今、俺がやるべきことは決まっている。ひとつ深呼吸をして、気持ちを切り替える。


「教えてくれてありがとうございます。オペが終わったら向かいます」


 抑揚のない声で看護師に告げ、中へ入室した。そのやり取りを聞いていた研修医が、遠慮がちに俺に声をかける。


「……大丈夫ですか?」
「ええ、オペに支障はありません。妻のことも、信じています」


 今は信じるしかない、彼女の強さを。そして、目の前の患者を助けることに集中する。

 容体が落ち着いている朝美の白い顔を見下ろし、目を合わせて頷く。大切な人の無事を願いながら、ひとつの命に向き合い始めた。


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