俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~
結局、一杯だけと言っていた栄先生は帰らないまま、二時間ほどが経過した。
私も彼とは会話のテンポが合うようで、なんだかんだ言いつつ楽しんでいる。年が一歳しか違わないせいもあるのかもしれない。
新婚ホヤホヤの伊吹ちゃんは早めに帰してあげることにした。幸せそうな彼女を見送りふたりきりになると、私は日本酒が注がれたお猪口を手にする。
私は甘いカクテルより日本酒が好きだ。栄先生がたまたま日本酒を頼んだので、こういう好みは合うらしい。
お米の甘さが際立つ純米吟醸酒をくいっと飲み、盛大にため息をつく。
「はぁ~、あの超奥手な伊吹ちゃんがお嫁さんに……嬉しいけど寂しいわ。なんか母親の気分」
「彼女はあなたを反面教師にしたってことですね」
相変わらず失礼な彼は、私と分け合っている日本酒のお猪口に口をつけた。いたずらっぽく口角を上げて。
それって、裏を返せば私が肉食系だとでも思っているわけ? 冗談じゃない。
不機嫌さが急上昇した私は、コンとお猪口を置き、「言っとくけど」とケンカ腰で反論する。