俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~
「私だって、男の人と遊んでるわけじゃないんですからね!? 何人か付き合った人はいるし婚活もしてるけど、どれも清いお付き合いで尻の軽い女だと思ったら大間違いなんだから!」
「そこまでは思っていませんよ」
息巻く私に、栄先生は口の端を引きつらせてそう返した。カウンターの向こうにいる大将も若干どぎまぎした様子で、こちらに気を使ったのか立ち位置をずらした。
私の見た目からか、よく〝経験豊富そう〟と言われるけれど、身体の関係を持ったことはほとんどないのだ。栄先生にまで誤解されたくはない。
ただ、付き合って失敗した経験なら何度もある。むしろ、成功した覚えがない。
「……私、好きだって言われると、私も好きかもって錯覚しちゃう傾向があるんです。で、あとになって本気の恋じゃなかったんだなって気づいて別れるっていう」
アルコールのせいで口が軽くなり、過去の恋愛遍歴について漏らすと、栄先生の瞳がこちらに向けられる。
「それはわりとよくある心理なんじゃないですか? 僕はないですが」
「だと思いました」
〝理解しがたい〟と言いたげな彼に棒読みで返した。『好きな人に好かれなければモテても意味ない』と言っていたくらいなのだから、この人はそんな錯覚はしないだろう。