俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~

 こんな話してどうするのよ。しかも相手は隠れ毒舌なこの人なんだから、またきついことを言われるのがオチだろうに。

 なのに、止められない。二十歳だった当時から今までずっと密かに悩んでいたから、ただ吐き出してしまいたい。


「でも子供はすごく好きで、自分の子を産みたいって思う。だから、子作りのときだけは我慢する。あとは身体の関係を持たなくてもいい、っていう条件を呑んでくれる相手を探して婚活してたけど……なかなかそんな人いないですよね」


 自嘲気味の笑みをこぼし、日本酒をひと口喉に流した。

 婚活で気が合いそうな男性と何度か会って自分の考えを打ち明けると、それきり連絡が来なくなったり断られたり、その繰り返しだ。セックスはしなくていいと言う男性もいるが、子供を望んでいない人がほとんど。

 やっぱり難しい条件なんだろう。こうしているうちにどんどん年を取ってしまう……と内心落ち込んでいると、黙って聞いていた栄先生がふっと鼻で笑う。


「バカだな」


 ため息交じりにそう吐き出され、さすがにカチンとくる。


「なっ──!」
「あなたをそんな考えにした元凶の元カレがね」


 続けられた意外なひと言で、私は出かかった文句をごくりと呑み込んだ。
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