俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~
ありえない状況になっているわけだが、不思議と嫌悪感は湧いてこない。ただ、心臓が飛び出そうなくらいドキドキするだけ。
とりあえず「……セーフ、です」と答えると、身体に回された手に力が込められ、さらにしっかりと抱擁される。決して乱暴じゃなく、大切に抱いているのが伝わってくる。
これは夢? 幻覚? 私、こんなに酔っ払っていたんだろうか。
「お礼の代わりに、俺の頼みを聞いてくれる?」
まるで催眠をかけられたかのごとく、現実味のない感覚を抱きながら、私は従順にこくりと頷いた。頭が働かなくて、そうすることしかできなかった。
「もう婚活はするな」
予想外すぎる禁止令を出され、私は目を見開く。
「ほかの男に目を向けないで、心を許すのも俺だけにして……より子」
心なしか切なげな声で懇願するように言われ、私の惚けた脳では完全に処理できなくなってしまった。
なんで、そんな独占欲たっぷりのお願いをするの? 甘く名前を呼ぶのも、どうして。あなたには片想いの相手がいるんでしょう?
頭の中は疑問と困惑でいっぱいになり、私はなんの返事もできずに、抱きしめられたまま放心状態になっていた。