俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~
冴えない生活を送っているうちにあっという間に十一月になり、明神夫妻の結婚式の日も約十日後に迫ってきた。
今日も図書室では、伊吹ちゃんの祖母であるトキさんを交えて結婚式の話で盛り上がっている。
トキさんは数カ月前までこの白藍に入院していて、その頃からよく遊びに来ていたのだが、今も通院のついでに図書室に寄っていってくれるのだ。
若者言葉が好きな、とっても明るく楽しいおばあちゃんで、カウンターに立つ私に真剣にアドバイスをしてくる。
「末ちゃん、あんたしっかり取るんだよ、ブーケとやらを! 逃したらぴえんだよ!」
「そんなにがっついてたら痛い女になっちゃいますよ」
ぴえんの意味はわかっているのかしら……と思いつつ、私は苦笑いした。
今はブーケを投げない演出も多いらしいし、もらえたら単純に嬉しいだろうが、結婚できるというジンクスにすがるほどピュアでもない。
ラベルを貼る作業をしていた伊吹ちゃんは、手を休めてトキさんに笑いかける。
「大丈夫だよ、おばあちゃん。末永さんを大切にしてくれる人はきっといるし、幸せになる日は遠くないと思うから」