俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~
伊吹ちゃんは私たちを交互に見て問いかける。
「末永さん、知り合いなんですか?」
「あ、うん。婚活中に一回だけデートした人」
納得して頷く彼女から円城さんのほうに視線を向けると、彼は本棚を眺め始めている。本を借りるなら助けが必要だろうし、気まずいが一応挨拶くらいはしておこうと思い、カウンター業務を伊吹ちゃんにお願いして彼のもとへ近づいていった。
私に気づいた彼が朗らかな笑みを浮かべ、「末永さん、お久しぶりです」と再び会釈した。私も同様に挨拶を返し、ギプスで固定された彼の足に目をやる。
「円城さん、足を怪我されたんですか?」
「ええ。参りましたよ、事故に遭ってしまって。でも、末永さんがここで働いていたのは嬉しい偶然でした」
彼は微笑みにどことなく甘さをプラスして、私を見上げる目を柔らかく細める。
「あなたに会えるなら、入院も悪くないです」
「ダメですよ。早く退院できるといいですね」
キザな冗談を口にするので、私は愛想よく笑って当たり障りなく返した。