俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~

 以前会ったときも甘いセリフがぽんぽん出てくる人だと思ってはいたけれど、もう婚活の相手じゃない今も言ってくるんだな。当時はたいして気にならなかったのに、今はなんだかチャラく感じてしまう。

 まあ、もう関わることはないしどうでもいいか。そんなふうに軽く考え、ただの司書と患者として他人行儀に接した。


 ところが、円城さんは毎日図書室にやってきて、本を借りるついでに私に話を振ってくる。たわいない世間話から、今も婚活はしているのか、目ぼしい人は現れたのかという確認まで様々だ。

 やたら絡んでくるなと思いつつ、適当にかわすこと数日。彼に「本を取ってほしい」と言われ、人気のない本棚の奥までついてきたとき……。


「末永さん、僕が退院したらまた会っていただけませんか? 結婚を前提に、お付き合いしたいんです」


 本は口実だったらしくまさかの告白をされ、私は呆気に取られた。

 結婚は円城さんのほうから断ったはずだ。なぜ今さらそんなことを言い出すのだろう。
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