俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~

 子供はもちろん私も欲しいので、がんばりたいのは本心だ。しかし、律貴が私を妻に選んだのはやはり子供のためだったんだなと実感すると、無性に寂しさに襲われる。

 どうして寂しくなるんだろう。私だって、子供を作るために結婚を決めたのに。

 目線を上げ、思いのほか嬉しそうな笑顔で寄り添っている写真の中の自分をもう一度眺める。ぼんやりしていると、ドアが開く音がして我に返った。

 仕事終わりでも相変わらず爽やかにリビングに入ってくる彼を、私もいつもの調子で迎える。


「ただいま」
「おかえり。夕飯、たけのこご飯にしたよ」
「おー、いいね。お腹空いた」


 リラックスした笑みを見せる彼とは反対に、私は再び緊張しながらキッチンへ向かった。具だくさんのお味噌汁を温めつつ、今夜はどうするかをまず考えなければと思考を戻す。

 こうやって一緒に夕飯を食べられるのは三日ぶり。タイミングが合う日は限られているし、それが排卵日ならなおのこと。

 ためらっている場合じゃない、私ももう三十歳なのだから。早く妊活を始めたほうがいい。
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