俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~
自分に言い聞かせて決心した私は、夕飯を食べ始めてしばらくしてから「ねえ、律貴」と呼びかけた。
「今日、排卵日みたいなの」
それだけ告げた直後、律貴は真顔になって動きを止めた。緊張が高まって喉がしまり、続く言葉が出てこない。
口ごもっていると、静かに箸を置いた彼がこちらを見据える。
「わかった。心の準備しておいて」
前髪がかかる瞳にどこか熱が孕み始めていて、心臓が激しく突き動かされた。
私は今夜、この人に抱かれるんだ──。
そのあとの食事はほとんど味がわからず、お風呂に入っている間も、シャンプーとコンディショナーどちらを洗い流したのかわからなくなるくらい上の空で。律貴の寝室にお邪魔するときには、心臓の位置がはっきりわかるくらい鼓動が激しくなっていた。
寝室は律貴のほうから別々にしようと言われてそうしているが、夫婦らしからぬ距離感がなんとも寂しかった。でも今夜をきっかけに、なにかが変わるかもしれない。
彼が座って待つベッドに恐る恐る近づき、とりあえず微妙な距離を開けて腰を下ろす。