俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~

 でも、そんな赤裸々な本音を正直にさらけ出せるほど、私は可愛い女ではなくて。今も〝子作りのために結婚した夫婦〟という関係を続けている。

 やや悶々とした気分でのっそりスマホを取り、画面を見た直後はっとした。七月十二日の土曜日、起きようとしていた時刻を三十分過ぎている。

「やばっ!」と慌てて飛び起き、寝癖のついた髪を手ぐしで整えながら寝室を出た。

 リビングダイニングにやってくるとパンの優しい香りが漂い、マグカップを手にした律貴が私に向かって微笑む。


「おはよう」


 夏の朝日を受けるその姿はとっても爽やかで、CMでも見ているかのよう。ふたりで迎えた初めての朝、みたいなシチュエーションが浮かんで胸がときめく。

 が、現実はそんなに甘くない。


「おはよ……ごめん、寝坊した」
「より子は休みでしょ。いいんだよ、ゆっくりしてて」


 朝食を用意できなかった妻に対してもまったく嫌な顔をせず、彼はこちらに歩み寄る。


「それより、体調はどう?」


 現在、妊娠三カ月の中盤となった私を、こうやって気遣ってくれるのが日課になっている。
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