俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~

 ──その後も妊娠の経過はいたって順調で、あっという間に五カ月目に突入。エコーで見られる愛しくてたまらない赤ちゃんの姿はどんどん人間らしくなってきて、次の検診では性別もわかるかもしれない。

 しかし、数日前まではまったく別の心配事があった。

 まだまだ残暑が厳しい八月の最終日、私は若干膨らんできたお腹を撫でながら病室の椅子に座っている。

 ベッドの上にいるのは、痩せ形で短髪が白くなってきている私の父。先日心臓の手術を受けてから、仕事終わりにお見舞いに来るのが私の日課になっている。

 一昨日から一般病棟に移り、経過も順調でひと安心しているところなのだが、父は背中を丸めてしょんぼりしている。


「リハビリが意外ときついんだよ……あの理学療法士さん、絶対スパルタだ」
「たぶん普通だと思うわよ。お父さんの筋力が落ちてるだけ」


 子供みたいにぶつぶつと泣き言を漏らすので、私は苦笑いした。三日間ICUで寝たきりだっただけでも、だいぶ体力が落ちているみたい。

 父が患ったのは大動脈弁閉鎖不全症で、簡単に言うと、弁が閉まりきらず心臓に血液が逆流してしまう病気。これを最初に見抜いたのは律貴だ。
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