俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~
『後腹膜を切開、周辺組織を剥離……腹部大動脈に到達』
皮膚を切り裂き、内臓を探っているような動きをする。その手の先に臓器があるような錯覚すら覚え、目が離せなくなっていた。
『ヘパリンを投与、遮断鉗子で大動脈を遮断。大動脈を動脈瘤の前後で離断し、人工血管を……』
あまりにじっと見すぎたのか、そこで私の気配に気づいたらしく彼の瞼がゆっくりと開かれる。
とろけそうな琥珀色に染まったその瞳も、輝く髪の一本一本までもが息を呑むほど綺麗で、またしても目を奪われた。
彼のことを『王子様みたいなお医者さんなんだよ』と、図書室にやってくる女の子たちが話していたっけ。そう呼ばれてもおかしくないなと、間近で見たこのときに実感した。
閉館時間が過ぎていると気づいた栄先生は私に謝り、それをきっかけに初めて会話をした。
話し方は柔らかく、品よく笑う姿は見ていて心地いい。話してみた印象も王子様さながらだ。