俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~
ほっとしたように表情をほころばせた父は、しみじみとした口調で語り始める。
「心臓の手術をすることになるなんて、俺もここまでか……なんて大袈裟なことを本気で思ったんだが、ちゃんと孫の顔も見られそうでよかったよ。寿命を延ばしてくれてありがとう」
頭を下げる父に、律貴は感慨深げに「いえ」と返す。本当に父の言う通りだなと思い、私も胸がじんとした。
「あと、より子のことも愛してくれてありがとう。律貴くんみたいな人にもらわれて、この子は本当に幸せだと思うんだ」
私と律貴を交互に見て嬉しそうにしている父を見ると、普段は影を潜めている罪悪感がむくむくと現れる。
父は私たちが想い合って結婚したと信じている。父だけじゃなく母も、周りの人も皆そう。ふとしたときに騙しているみたいで心苦しくなるし、愛されているわけではないと思うと切なくもなる。
そんな複雑な事情を父は知らないし、なにより律貴の前でこの話になるのは気まずいので、私は「恥ずかしいからやめてよ」と言って切り上げようとした。しかし……。