俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~

「幸せなのは僕のほうです。より子さんとずっと一緒にいたいと願っていたので」


 彼の口から思わぬ言葉が飛び出し、目を丸くしてつい凝視してしまった。

 ……なにも取り繕っていないような凛とした表情で、そんな甘いセリフを口にしないでほしい。今のが本心だと勘違いしちゃうじゃない。

 忘れちゃいけない、この人は王子様の振る舞いを完璧にできる人なんだから。私の胸も簡単にときめいたりしないで。

 頬も火照っているのを感じて目を泳がせていると、父が突然胸を押さえて悶え始める。


「はぁぁ……今、心臓がキュンっと……傷が開きそうだ」
「なんで」


 完全にふざけている父に私は顔を歪ませてツッコみ、律貴はおかしそうに笑った。

 彼と視線を合わせれば、いたずらっぽく目を細められる。ああ、やっぱり出まかせなんだろうなと残念な気持ちになりつつも、表面上ではぷいっとそっぽを向いた。

< 63 / 166 >

この作品をシェア

pagetop