俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~

 あかりちゃんは目を細めて「ふ~ん」とゆっくり頷いている。あれは絶対信じていない顔だ。かく言う私も、本当に転んだだけ?とちょっと疑っているけれど。

 あまり覗き見しているとバレてしまいそうなので、そっと本を並べながら耳をそばだてる。あかりちゃんはやはり興味津々な様子だ。


「栄先生って学校でもモテたでしょ?」
「そうだねぇ、すごく人気だったよ。カッコよくて優しくて、勉強も運動もできて」
「好きだった?」


 ぴたりと手を止め、ド直球な質問の答えに私も耳を澄ませる。


「……うん。だからここでまた会えて嬉しかったよ」


 少し照れたような声が聞こえ、心臓がドクンと重苦しい音を立てた。

 やっぱり、朝美さんは律貴に想いを寄せていたのだ。律貴の気持ちはわからないが、むくむくとライバル心が湧いてくる。

 表情を険しくしていると、朝美さんが苦笑を漏らす。


「でも、もう結婚しちゃったらしいしね」
「離婚するかもしれないじゃん」


 ちょっとあかりちゃん、縁起でもないことを!と、眉根をぎゅっと寄せて心の中でツッコんだ。まったく、このおませさんは。
< 83 / 166 >

この作品をシェア

pagetop