俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~
あかりちゃんは目を細めて「ふ~ん」とゆっくり頷いている。あれは絶対信じていない顔だ。かく言う私も、本当に転んだだけ?とちょっと疑っているけれど。
あまり覗き見しているとバレてしまいそうなので、そっと本を並べながら耳をそばだてる。あかりちゃんはやはり興味津々な様子だ。
「栄先生って学校でもモテたでしょ?」
「そうだねぇ、すごく人気だったよ。カッコよくて優しくて、勉強も運動もできて」
「好きだった?」
ぴたりと手を止め、ド直球な質問の答えに私も耳を澄ませる。
「……うん。だからここでまた会えて嬉しかったよ」
少し照れたような声が聞こえ、心臓がドクンと重苦しい音を立てた。
やっぱり、朝美さんは律貴に想いを寄せていたのだ。律貴の気持ちはわからないが、むくむくとライバル心が湧いてくる。
表情を険しくしていると、朝美さんが苦笑を漏らす。
「でも、もう結婚しちゃったらしいしね」
「離婚するかもしれないじゃん」
ちょっとあかりちゃん、縁起でもないことを!と、眉根をぎゅっと寄せて心の中でツッコんだ。まったく、このおませさんは。