俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~
朝美さんはもう一度苦笑いして、力なく言う。
「私はダメだよ、心臓の病気だし……。りっくんの相手は健康な人じゃないと。子供も産まなきゃいけないだろうしさ」
切なげな声が私の胸に針のように刺さり、鈍い痛みが走った。
私が律貴の結婚相手に選ばれたのは、子供を産むためでしかないのだと今一度宣告されたように感じる。そして同時に、朝美さんは病気が原因で恋愛を諦めているのではないかと思えた。
もしかしたら、病気のせいで律貴の想いに応えられなかったのかもしれない。彼が『フラれたようなもの』だと言っていたのは、こういう意味だったんじゃないか。そう考えればすべて腑に落ちる。
言葉を失って呆然としていると、少し明るさを取り戻した朝美さんの声が聞こえてくる。
「でも、病気になったせいで考え方が変わってね。自分の気持ちに正直に生きてやろうって思ったの。私のわがままを許してくれるの、りっくんくらいだし」
だから今、律貴にアプローチしているの? もしかしたら取られてしまうんじゃないかと、焦燥感が湧き起こる。