短編『おやすみ、常盤さん』
「このまま家に泊まりに来る?」
帰り道を歩きながら僕が尋ねると、佳煉ちゃんは恥ずかしそうに頷いた。
うちに泊まりに来るのは今日が初めてじゃないのに。
急にしおらしくなった彼女を見ると、僕の悪戯心が顔を覗かせる。
「今日もじっくり寝顔を観察しようかな」
僕が意地悪くそう呟くと、彼女は勢いよく顔を上げた。
「今日は寝ちゃわないってば!」
僕は彼女の手を引きながら、つい自分の口元が緩んでしまうのを感じた。
さて、どうなることやら。
【完】