日陰のベンチで、あなたに会いたい

ぼうっと考えていると、僕の前の席に座る友達が話しかけてきた。

「なあなあ、さっき聞いたんだけど一年に美人な子いるらしい!

ちょっと近寄りがたい雰囲気あって、高値の花って感じなんだってー!

見てみたくね!?」

目をキラキラさせながら話しかけてくる友人。

コミュ力が高く多くの友達がいるこの友人は、またどこかから情報を仕入れてきたらしい。

特にその美人に対して興味のない僕は、「別に」と即答で返した。

「クッソ~イケメンはこれだから!

僕は女に困ってないってか?

嫌味か、嫌味なのか!」

悔しそうに顔を歪めて、僕を睨みつけながら言う。

僕をねめつけていたと思ったら、その表情から一転あきれ顔になり、「でも」と続けた。
< 12 / 19 >

この作品をシェア

pagetop