日陰のベンチで、あなたに会いたい
一生懸命なあの子
昼休みになり、まだ課題が終わり切っていない友人を僕が教えられるだけを教えて、先ほど考えていた通り鐘が鳴ったら急いでいつもの場所に来ていた。

「ひかるぅぅぅ! お願い、まだ行かないで!」

「もう教えることない。あとは頑張れ」

「鬼か! 薄情者ぉ!!」

と、縋りついてくる友人を見捨てるような形になってしまったかもしれないが、あと僕にできることはないからいいことにしよう。

あの子が来る時間もわからないのに、時計ばかり見てしまう。

見るたび見るたび、長針は全く進まない。

来ないならいっそのこと早く時間が過ぎて昼休みが終わってしまえばいいのに。

そうすれば今日は来ないのだと諦めがつく。

ゲームとか楽しいことをしている時間はあっという間なのに、待ち人を待つという時間は永遠のように感じる。

待ち人はまだ来ない。

まだっていうか来るかわからないんだけどね。

やはり昨日はただ単に、一人になりたかったからここまで来たのだろうか。

諦めて、少し昼寝でもしようかと思い、体を横たえようとしたとき、こちらに向かってくる足音が聞こえた。

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