日陰のベンチで、あなたに会いたい

高校に入って友達づくりにすっかり出遅れた私は、校舎の外の日影にある、あまり目立たないベンチに一人ぽつんと座り、昼食を食べていた。

この場所は、校舎からほとんど見えない死角になっていて、しかも、日陰でそこにはベンチもある。

初めてこの場所を見つけた私は、あまりの心地よさに感動した。

ここにベンチを置いた人は天才か。ここの魅力が分かるとは。

もしかして私と同じような人が、昔ここにベンチを置くよう言ってくれたのだろうか。そうだとしたらグッジョブ!

顔も知らない人に感謝の気持ちを心の中で述べた。

この場所を見つけてから、天気のいい日はこの場所で昼食をとることが習慣になっている。

断じて友達がいなくて、教室で昼食を食べるのが寂しいとか、高校に入ったら友達を作るぞと意気込んでいたのに全くできなくて居たたまれないとかではない。

しかし、友達を作るに越したことはないので、どうしたら友達ができるのかを考えながら今日も昼食を食べていた。

そんな私に、どこから登場したのか、急に表れて、唐突に話しかけてきたこの男の人。
ネクタイの色からして、二年生だろう。

私は、全く自慢でもない吊り上がった目を相手に向けながら、口を開いた。
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