日陰のベンチで、あなたに会いたい


「え、嫌です。
ナンパならよそでやってください」

一人でゆっくり昼食をとっていて、急に話しかけられて動揺した私が発した言葉は自分が思った以上に冷たい言い方だった。

あぁまたキツイ言い方をしてしまったぁぁ!

頭の中の私は頭を抱えながら崩れ落ちる。

そう、私は昔からこうだ。

このキツイ目つきと人見知りからくるキツイ言い方で、なかなか友達ができない。それに加えて、私の表情筋は死んでいる。

友達作りにおいてこの3点は壊滅的に向いてなかった。

昔は今より普通に話せていたと思うけど、成長するにつれどんどん人見知りをこじらせ、自分を守るための手段としてか、言葉にとげが出るようになってしまった。

確かに隣に知らない人が座るのは、人見知り上級者の私にはレベルが高くて嫌なんだけど、もっと言い方ってもんがあんでしょうが!

せめてこういう心の中が相手に伝わったなら、まだ救いようがあったのかもしれないが、世の中の人びとはエスパーではない。

よって、私が変わるしかないのだが、なかなかそれが上手くいかない。

普段の言い方はそれほど(・・・・)険のある言い方ではないはずなのだが、予想外に話しかけられたときや、嬉しくてテンパったときなど感情が大きく揺れるときに、このキツイ言い方が超強力に発動されてしまう。

私の自己防衛本能、特殊すぎないか……!

せめて、”言葉足らずでちょっと感じ悪い”の方が救いようがあったのに。

相変わらずの無表情のまま、心の中で自分を叱っている私を見て、先輩は笑った。
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