闇夜ヨルの恐怖記録 3
☆☆☆

その会社は大手IT企業で、アリスでも知っている社名を掲げている。


ビルから出てくる人たちの邪魔にならないよう、少し離れた路地からその様子を伺った。


スーツを着ている人たちは中学2年生のアリスから見るととても大人だ。


それなのに颯爽と歩くその姿はとてもカッコイイ。


やっぱり、スーツを着てバリバリ働くのもいいかもしれない。


なんて思っていたとき、1人の男性が出てきた。


紺色のスーツを着たその人はスラリと背が高くて足が長い。


顔も整っていて、後から数人の女性社員がついて出てくるのがわかった。


その男性を見た瞬間アリスの心臓はドクンッと大きく跳ねた。


頬が赤く染まり、鼓動が早くなる。


なにこれ?


初めての感覚に戸惑い、服の上から自分の胸をおさえる。


まるで酸欠になってしまったかのように息苦しくて、いくら息を吸い込んでも動悸は収まらなかった。


彼は何人かの女性に飲みに誘われているようだけれど、笑顔でそれを断っている。


真っ直ぐ帰るんだろうか?


あれだけの女性の誘いを断るんだから、彼女とか、奥さんがいるのかもしれない。
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