闇夜ヨルの恐怖記録 3
こんなにも早く自分の理想の男性を見つけることができるなんて嬉しい想定外だ。


あとはうまく髪の毛を手に入れるだけだけれど、これはそう簡単に行くとは思っていない。


きっと何日も彼の後を追いかけて、そのタイミングを見図ることになるだろう。


と、その時。


彼が少し早足になったかと思うと、そのまま狭い路地へと入って行ってしまった。


アリスは慌ててその後を追いかける。


こんな狭い路地に入るということは近道なんだろうか?


そう思った次の瞬間だった。


路地を曲がったアリスの目の前に彼が立ちはだかっていたのだ。


思わずぶつかってしまいそうになり、慌てて立ち止まる。


「君は誰? どうして僕のことを追いかけるんだ?」


鋭い口調が頭上から降り注ぎ、アリスは身をすくめる。


まさか気が付かれていたんなんて……。


恐る恐る顔を上げると、眉間を釣り上げた彼の顔がそこにあった。


怒っていてもとてもかっこよくて、また心臓がドクンッと跳ねてしまう。


アリスはすぐにうつむいて、鼓動が相手にバレないように注意した。
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