闇夜ヨルの恐怖記録 3
「ごめんなさい。別になんでもないんです」


「なんでもないのに、どうしてこんな路地にまで入ってくるんだ?」


そう聞かれて初めてアリスは路地が行き止まりになっていることに気がついた。


これではなんの言い訳もできない。


体から冷や汗が吹き出してくる。


ここは素直に謝って許してもらうしかなさそうだ。


彼をここまで尾行してきたことは事実なんだから。


「随分若い子だな。まさか高校生か?」


「……はい」


彼は大きなため息を吐き出す。


もしかして通報されてしまうんだろうか。


家や、学校に連絡が行ってしまうんだろうかと不安がよぎり、今度は血の気が引いてきた。


「あの、後をつけてしまったことは謝ります。許してください!」


アリスは心から謝罪をして頭を下げた。


足が小刻みに震えている。
< 105 / 163 >

この作品をシェア

pagetop