闇夜ヨルの恐怖記録 3
夜になると普段見慣れている景色とは全く違うもののように見えてくる。


光り輝くネオンに、行き交う車。


すれ違う人たちもカップルが増えてきて、みんな肩を寄せ合って歩いている。


みんなどこへ行くんだろう?


今日は金曜日だから大人たちはお酒を飲んだりするのかな。


それで、恋人同士は家に戻らずに夜を過ごしたりするのかもしれない。


まだ中学生のアリスにとってそれは夢のような世界の出来事だった。


羨ましくもあり、少しだけ恐いような、いけないものを見てしまったような複雑な心境だ。


早く家に帰ろう。


足が自然に早足になったとき、ネオンの中に小さな看板を見つけた。


それは地下にあるお店の看板のようだけれど、ほとんど剥げてしまっていて読み取ることができない。


そんな看板が目についたのは、このきらびやかななネオンの中でひときわ地味だったからだ。


手書き看板は木製で、ライトアップすらされていない。


それはアリスにとって逆に目立って見えた。
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