闇夜ヨルの恐怖記録 3
カイと2人で地下へ続く階段を下りて、ノックもせずに扉を開いた。


そこには前回来たときと同じ光景が広がっていた。


重厚感のある黒い革のソファーに座っていた、ゴシックロリータの女性が驚いたように立ち上がる。


「あらあなた、また来たの?」


ふりるを揺らしながら近づいてくる女性をアリスは睨みつけた。


「どういうこと?」


「あら恐い顔。どういうことって、なにが?」


小首をかしげるその姿は本物のお人形さんのようだ。


だけど騙されない。


アリスは女性を睨みつけたままで言葉を続けた。


「カイの首には数字が書いてあった。それは自分がここにいられる時間だって言うの」


「あぁ。そのとおりよ。それがどうかした?」


「どうかした? じゃあないよ! そんなの説明されてない!」


「あらそうなの。それはごめんなさいね。私忘れていたみたい」


女性は悪びれた様子もなく言う。


それがアリスの神経を逆なでした。


「冗談じゃない! せっかく理想の相手を見つけてこの店だって一生懸命探したのに、たった6日しかもたない彼氏だなんて、意味がないでしょう!?」


「意味がない? 本当にそうだった?」
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