闇夜ヨルの恐怖記録 3
友人、家族、学校、その他お店などの連絡先。


あるべきはずのそれがないのだ。


アリスの震える手からスマホが滑り落ちた。


カシャンッと軽い音を立てて土をかぶるスマホ。


それを取り上げることはできなかった。


「いつも自分がどこで眠っているか覚えてる?」


キユナの質問にアリスは左右に首をふる。


だけど家だ。


自分の家に決まっている。


「私の家だよ。夜になると自動で戻ってきて、隣で眠るようになってる」


それは手作り人間工房で聞いた説明そのままだった。


アリスは無理矢理笑顔を浮かべて「嘘だ。そんな記憶ないし」と答える。


「そうだね。夜になると自動で電源が落ちる時間帯があるの。そうなるとその後の記憶は消えて、家に戻るだけの力しか残らなくなる」


「さっきから何言ってるの? 全然わからないんだけど」


「カイがクローンだってこともわかってたよ。だって、アリスと一緒に渡しの家に戻ってきていたから。でもクローンがクローンを購入するなんて、前代未聞だってお店の人は言ってた。それくらいアリスは特別なクローンだって」
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