闇夜ヨルの恐怖記録 3
☆☆☆

それからのキユナは放課後になると1人で街を歩いて手作り人間工房を探すようになった。


ただの都市伝説だと思う気持ちもあったけれど、自分ののぞみを完全に消してしまうことができなかったのだ。


「こいつ毎日放課後になると1人でフラフラ歩き回ってるんだってさ」


「なにそれ、気持ち悪い」


クラス内でそんな風に噂されるのにも時間はかからなかった。


そのせいで余計に周囲から浮いてしまい、白い目で見られるようにもなった。


「あまりクラスに馴染めていないようだけれど、大丈夫かい?」


クラス内の変化に気がついた担任の先生に呼び出されたこともある。


だけどキユナはうつむいたまま固く口を閉ざしていた。


本当のことなんて言えるはずがない。


友達ができなくて、イジメられているだなんて。


先生はきっと手を差し伸べてくれようとする。


けれど、それがキッカケとなってイジメが悪化する可能性の方が高かった。


「大丈夫です」


結果的にキユナはそれだけ言って職員室を出てきたのだった。
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