闇夜ヨルの恐怖記録 3
ベッドの上半身を起こしてシュンヤはすっかり筋肉がなくなってしまった両足を見つめた。
こんなんじゃボールを追いかけることはできない。
それどころか、ユナとのデートすらできいないかもしれない。
骨と皮だけになってしまった両足をさすっていると、母親が少しだけ辛そうに眉をさげた。
「退院したら、またサッカーをするんだ」
シュンヤは明るい笑顔と声でそう言った。
「そう。じゃあ治療が終わった後にリハビリも頑張らないとね」
「あぁ。病気がよくなったらサッカー部に入るんだ。それで絶対にエースになる」
シュンヤの言葉に母親の目に一瞬だけ涙が浮かんだ。
シュンヤは驚いて足をさする手を止めた。
「どうして泣いているの?」
「目にゴミが入ったのよ」
母親はそう言ってすぐにシュンヤから視線を外し、バッグの中から目薬を取り出した。
本当だろうかと、シュンヤは思う。
毎日掃除をしてくれる人がいて、無駄なものはほとんど置かれていないこんな部屋のどこにゴミがあるんだろうと。
「俺の病気、よくなるんだよね?」
シュンヤに背を向けている母親の体が小さく跳ねる。
その様子にどんどん不安が膨らんでいく。
「当たり前でしょう? なに言ってるの?」
母親は笑い声をあげながら振り向いて、そう言ったのだった。
こんなんじゃボールを追いかけることはできない。
それどころか、ユナとのデートすらできいないかもしれない。
骨と皮だけになってしまった両足をさすっていると、母親が少しだけ辛そうに眉をさげた。
「退院したら、またサッカーをするんだ」
シュンヤは明るい笑顔と声でそう言った。
「そう。じゃあ治療が終わった後にリハビリも頑張らないとね」
「あぁ。病気がよくなったらサッカー部に入るんだ。それで絶対にエースになる」
シュンヤの言葉に母親の目に一瞬だけ涙が浮かんだ。
シュンヤは驚いて足をさする手を止めた。
「どうして泣いているの?」
「目にゴミが入ったのよ」
母親はそう言ってすぐにシュンヤから視線を外し、バッグの中から目薬を取り出した。
本当だろうかと、シュンヤは思う。
毎日掃除をしてくれる人がいて、無駄なものはほとんど置かれていないこんな部屋のどこにゴミがあるんだろうと。
「俺の病気、よくなるんだよね?」
シュンヤに背を向けている母親の体が小さく跳ねる。
その様子にどんどん不安が膨らんでいく。
「当たり前でしょう? なに言ってるの?」
母親は笑い声をあげながら振り向いて、そう言ったのだった。