闇夜ヨルの恐怖記録 3
それは自分の声なのに、まるで他人のもののようで怖かった。


「そう。あなたも今日いなくなる」


キユナがアリスの体を抱きしめる。


私も今日消える?


カイのようにドロドロに溶けて、跡形もなく地面に吸い込まれてしまう?


恐怖が湧き上がり、それから逃れようとしてキユナを突き飛ばす。


とにかくこの部屋から出ようとドアへ向けて走ったとき、突然足が動かなくなった。


それは地面に張り付いてしまったかのように動かない。


どうして!?


恐る恐る足元へ視線を向けると、アリスの足は黒ずんで解け始めていたのだ。


「い、いやあああ!!」


悲鳴をあげてその場にうずくまると、足が地面に吸い込まれていくのがわかった。


「アリス、大丈夫だから!」


キユナが懸命にアリスの体を抱きしめる。


嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!


死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない!!


アリスはキユナの体にすがりつき、必死に左右に首をふる。


そのとき自分の頬の肉が溶け出していて周囲に飛び散るのを見た。
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