闇夜ヨルの恐怖記録 3
「ごめんねアリス恐いよね。普通のクローンは自分が消えるときも怖くないらしいの。だけどあなたは特別だった。ごめん、本当にごめん」


あぁ……。


恐いよ恐いよ恐いよ恐いよ。


そう伝えようとしても、喉の奥が溶け出して声がでなかった。


キユナに抱きついている手がドロドロになって崩れていく。


体が解けた分だけ身長が低くなり、必死で見上げないとキユナの顔を見ることができなくなった。


キユナはボロボロと泣いていた。


公園で感じたあの悲しみを思い出す。


キユナも今あの悲しみを感じているはずだ。


アリスはキユナの涙を拭うために腕を伸ばす。


しかしその腕は途中で崩れ落ちて届くことはなかった。


やがて眼球が転げ落ち、そして全てが消え去った……。
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