闇夜ヨルの恐怖記録 3
第4診察室に現れるという死神の噂は嘘だった。


それでもシュンヤは日に日に体力が落ちていくことを自覚しはじめてから、自分も寿命がいつまでなのか知りたいと思うようになった。


「ねぇお母さん。俺は死ぬの?」


ある日の昼下がり。


いつものように吐き気の伴う点滴を終えた後で、シュンヤは聞いた。


汚れものを大きな袋に詰めていた母親は一瞬動きをとめ、そして目を丸くして振り向いた。


「何を言っているの?」


「だって、今回の入院はなんだか、今までと違うから」


こうして会話をしているだけでも息が切れ、ひどく疲れる。


つい先週まではクラスメートが来てくれた時に笑い合っていたのに、今ではそれも難しくて、今週は来ないように頼んでいた。
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