闇夜ヨルの恐怖記録 3
シュンヤは自分の胸が張り裂けてしまいそうなになるのを感じながら、ユナを見つめた。


「俺がいなくなっても、絶対に元気で生きていてほしいから」


「シュンヤは死なない」


ユナはシュンヤの手をさするようになでながら言う。


「だってこんなに元気じゃん。血色がいいし、呼吸も整ってるし、自分の手で車椅子を動かしてる」


ユナは必死に言葉を紡ぐ。


それは本当にシュンヤが元気であると錯覚してしまうようなものばかりだ。


「そうだな……俺、元気だな」


思わず笑みがこぼれた。


「本人なのに気が付かなかったよ」


「バカ」


ユナの涙がポタポタとシュンヤの手のひらに落ちていく。


病室内にいた母親はそれを見て、口もとを手で押さえて病室を出ていく。
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