闇夜ヨルの恐怖記録 3
残されたシュンヤはユナの頭に手を乗せて優しく撫でた。


両親や医師、そして友人たちがいる前ではこんなこと恥ずかしくてできない。


「生きて。ねぇ、私のためにもっともっと生きてよ?」


懇願するようなユナの声が胸に響く。


シュウヤは大きく息を吸い込むと、笑顔を浮かべた。


ジクジクと痛む体を無視して「あぁ」と、頷いた。


ユナはその返事を聞いて笑顔になった。


泣きながら笑顔を作ったユナはぶさいくで、吹き出してしまう。


「ちょっと、笑うなんてひどい」


「だってユナ、ひどい顔だ」


「誰のせいよ。シュウヤが変なのこ言うからでしょう?」


「ごめんごめん」


そう言って、2人はまた笑う。


ユナのためにも自分の寿命を確認しよう。


もし短ければ残りの時間を大切にして、もし長ければもっともっと楽しいことを沢山して笑い合おう。


ユナの頭を撫でながら、シュウヤはそう決めたのだった。
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