闇夜ヨルの恐怖記録 3
そこまで思い出したシュンヤはつい笑顔になっていた。


「お母さん、俺はまた退院できるんだよね?」


「突然何? 前からずっとそう言ってるでしょう?」


母親は怪訝そうな顔になる。


「そうだよね、でもなんか、信じられなくて」


自分の細くなってしまった手足へ視線を向けて呟いた。


日に日に痩せて弱くなっているのを自分でも感じる。


昨日の夜だって歩いて1階へ降りるだけで随分時間が必要だった。


そんな状態だから、自分の命があと少しだと疑っても仕方のないことだった。


でも違うんだ。


俺の寿命は80歳まである。


あと数年で死ぬことなんてない。


やりたいことは全部できるんだ。


「お母さんは嘘なんてついてないわよ?」


「うん。今ならその言葉を信じられる」


シュンヤはそう言って笑ったのだった。
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