闇夜ヨルの恐怖記録 3
「ちょっとぼーっとしてただけだよ」


そう言って笑ってみせるシュンヤはさっきよりも弱々しくて、ユナは握りしめている手に力を込めた。


シュンヤもちゃんと握り返してくれて、それは少し痛いくらいでホッと胸をなでおろした。


「俺たちが付き合いはじめたときのこと、覚えてる?」


不意にそんな質問をされてユナの頬は桜色に色づいた。


窓の外から入ってくるオレンジ色の光と、ユナの頬の桃色がとても合っているように見えてシュンヤは微笑む。


「突然なに?」


「あのときも俺、入院したんだよな」


シュンヤは天井を見上げて中学に入学してすぐの頃を思い出す。
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