闇夜ヨルの恐怖記録 3
「すごいね。80歳まで生きたらこんなに沢山のことができるんだね」


ユナは一杯に埋まったノートを見て胸がいっぱいになったように微笑む。


「本当だ。時間を有効活用すれば、もっともっといろいろなことができる。それこそ、オリンピック選手にだってなれるかもしれないんだ」


シュンヤの目は未来へ向いていた。


キラキラと眩しいくらいに輝いて、これからの自分の人生を思い描いている。


ふいにユナがうつむいた。


ペンを持っている手が小刻みに震えて涙が頬を流れる。


「ユナ、どうしたの?」


「すごく楽しみで、嬉しくて、涙が出てきちゃった」


ユナは笑いながら泣いていた。


手の後で何度も涙をぬぐう。


「なんだよユナは泣き虫だなぁ」


シュンヤはそう言って、呆れたようにユナの頭を撫でたのだった。


シュンヤが自発呼吸できなくなったのは、その日の夜のことだった。
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