闇夜ヨルの恐怖記録 3
「今日ね、クラスで面白いことがあったの。マイカちゃんって覚えてる? メガネをかけた読書家の子なんだけど、その子の本がなくなったって騒ぎになったの。でも誰も知らないって言って、不思議だったんだけど、結局学校内に迷い込んできた野良犬が加えていっちゃってたんだよ」


ユナは自分で言って、自分で笑う。


だけどシュンヤもきっと笑ってくれていると信じていた。


気のせいかもしれないけれど、人工呼吸器の中の口角が少しだけ上がっている気がするから。


「それからね、みんなとまた千羽鶴を作ってるんだよ。今度は千羽分の折り紙を1つにくっつけて、とっても大きな鶴をひとつ作るんだよ。病室に入るかどうかわからないけど、出来上がったら持ってくるから楽しみにしていてね」


こう言うと、きっとシュンヤは頭の中でとても大きな折り鶴を想像してくれていると感じる。


もしかしたら、巨大な鶴に乗って空を飛ぶ夢を見ているかもしれないとも。


それからユナは移動して、シュンヤの足をマッサージし始めた。


出会った時は筋肉質でがっちりとしていた足は、今ではユナの指が回ってしまいそうなくらいに細い。
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