闇夜ヨルの恐怖記録 3
それを少しでも前の状態に戻すために、足に手を添えて膝を曲げたり伸ばしたりを繰り返す。


こんなことをしてもほんの少ししか役立たないのかもしれない。


それでもユナはシュンヤが回復すると信じていた。


「シュンヤは80歳まで生きるんでしょう? だから、私と一緒に沢山の経験ができるんだよね」


サッマージして話しかける内容はどれも楽しくて、明るいものばかりだ。


「楽しみだね。遊園地も動物園も水族館も。シュンヤと一緒なら、きっとどこへ行っても楽しいよね」


想像してみたら、本当に楽しくなってきた。


マッサージをしながらふふっと小さく笑う。


シュンヤの顔を見ると、やっぱり同じように笑っているように見えて嬉しくなった。


今は言葉が話せないけれど、起きたらきっと『ユナ。さっそく動物園に行くか』と言ってくれるような気がする。
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