闇夜ヨルの恐怖記録 3
病室のドアは開け放たれていて、廊下からでもその様子がよく見えた。


白いベッドに横たわっているシュンヤは心臓マッサージを受けている。


心電図がそれに連動して揺れる。


「ユナちゃん!」


シュンヤの母親がユナに気がついて手招きをした。


ユナは頷き、病室へ入る。


途端に死の香りを感じてたじろいだ。


今目の前で好きな人が死のうとしている。


その現実があまりに衝撃的でユナはベッドに近づくことができなかった。


「ユナちゃん。声をかけてあげて」


シュンヤの父親にそう言われ、やっとシュンヤの隣に立った。


入院当時はあれだけ血色のよかった顔が、今は青白い。


死神に半分魂を持っていかれているのか、すでに生気を感じられない。


「シュンヤ……」


1度名前を呼ぶと感情が溢れ出す。


「シュンヤ行かないで! まだここにいて!」


ユナはシンヤの手を握りしめて叫ぶ。


「80歳まで生きるんでしょう!? まだ死なないんだよね!?」


懸命に声をかけると、ふいにシュンヤの心臓が動き出した。


「心拍再開です!」


病室内が慌ただしくなる。
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