闇夜ヨルの恐怖記録 3
人間を作れる場所なんて質問をすれば、変な誤解を招くに決まっているのだ。


「調べてみるから少し待ってね。あ、それとあなた身分証明は持ってる? もしかして学生さんじゃない? 学校は?」


次々と質問されて冷や汗が背中を流れていく。


「ごめんなさい。もう少し情報を集めてから、また来ます」


アリスは早口にそう言うと、慌てて警察署から逃げ出した。


後からさっきの警官が呼び止めてきたけれど、それも無視して走る。


しばらく走って小さな公園にたどり着いたとき、アリスは肩で呼吸を繰り返してベンチに座り込んだ。


私は一体なにをしているんだろう。


人間工房なんてもの警察が教えてくれるわけがない。


人身売買とか、売春組織とか、そんな風に勘違いされてしまったかもしれない。


アリスは水道を蛇口を捻って顔を洗うと気持ちを入れ替えた。


これは自分1人で探し出さないといけないことだ。


キユナにだって相談はできない。


ただの噂。


都市伝説だということも忘れて、アリスは再び人間工房を探すために公園を出たのだった。
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