天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
「そなたにも許婚を与えよう。これを」
義母上が一つの首飾りを投げてよこした。首飾りは円を描いて私の足元に落ちた。
「天后っ…あれは」
天帝が止めるのを天后が手で制した。
首飾りには透明な石がついていた。
「それは天空石。天女が天界に降り立つときに現れ、居場所を探すときに用いるものです。」
「なぜ私にこれを?」
天女様は二千年前の戦で死に天は未来永劫、天からの遣いはくださらないはず。
その言葉通り二千年前から天女は現れていないのだ。
「わからぬか月影」
「...」
まさか…。義母上の意図がわかり先ほどの淡い喜びが消え失せた。
「二千年前に天女が死んだところに落ちていたものだ。天界では天女が子を残したという噂もある。…もうわかったな月影」