天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
噂といえ二千年も前の事もし天女の子が生きていたとして見つからないわけがない。
はじめから義母上は私に許婚など与える気がなかったのだ。
いや、生きているか死んでるかも、存在すらわからない者をくださったのだ。
「あんまりです!父上も母上も!これでは兄上を侮辱しています」
「黙りなさい!氷輪!!兄に許婚を与えてやったのだ。そなたはすぐに婚姻せよ」
氷輪が黙ったままの私に代わり怒ってくれたが、その言葉がさらに私を惨めにさせた。
顔をあげると父上と目が合った。
父は私から目を逸らすと言った。
「…天后からの贈り物だ。早く持って出て行きなさい」
実の父ですら目を合わせて貰えなかった。
震える手で足元の天空石を拾った。
「…失礼いたします」
「兄上!」
後から追いかけてくる氷輪を天帝と天后が止めている声が聞こえたが私は逃げるように天宮をでて足早に自分の宮に戻った。