天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
「あんまりです…あんまりですよ…」
宮についてから黙り込む私に兎月が泣きながら寄り添った。
おそらく出てくるのが遅い私を心配して天宮に入ったのだろう。
頭ではわかっていた、天帝と天后には何も求めてはいけないと自分は罪人の子だからと。
だが、義母上に笑いかけられたとき心のどこかで期待した自分がいた。
「兎月…天界ではそなただけだ」
「月影様…」
「もうそんなに泣かないでくれ」
「だって月影様が泣かないから代わりに泣いているのです」
シクシク泣く友をみて私もいつもの冷静さを取り戻した。
手の中にある天空石。
天女があらわれた時に出現すると言っていた、では天女が死ねばこの石は消えるはずでは?
今、天空石が私の手中にあるということは噂通り天女の子が生きているのか?
天界に天女はいない。魔界では天女は生きられない。では人間界では?
いくら考えてもわからぬ。
「月影様…?」
スッと立ち上がった月影をみて兎月が不思議がった。
「人間界へ行ってくる。人間界へ行けば何かわかるかもしれない。すぐに戻る」
そして飛行術で私は人間界へと向かった。