天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~


荷物をまとめていると一人の人に目がいった。


なんだろう。やけに浮いている存在だな。


「饅頭いかが!あんた饅頭いかが!」

「ああ、すまない」


その人は饅頭を貰うと歩きだした。


「ちょっと、お金は!?」

「お金?」

「饅頭と引き換えだよ。金だしな。なんだ無いのかい!役人呼ぶよ」

「お金…」


その人は不思議そうに店主の顔を見つめていた。

それを見て私はすぐにわかった。

きっとこの人、人間界の者じゃないんだわ!

助けてあげなくちゃっ!役人に連れていかれちゃう!


「おばさん!代金はこのお金でお願いします」


お金を払い、その人の手を握ってその場からすぐに離れた。



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