天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
「大丈夫だった?」
振り返って聞くと、その人はパッと繋いでいた手を離した。
よく見るとその人は男だった。
美しい顔に似つかず髪には簪すらさしていない。衣も派手な装飾はない。なのになぜか気品がある。
「あ、ああ。感謝します」
「いいのよ。名前は?人間界は初めて?」
「はい。月影と申します」
「普通に話してよ。私そこまで身分高くないもの」
言うと月影は美しく笑った。
「感謝する。人間界は本日はじめて来た。こんなに美しい場所とは思わなかった」
「でしょう!月影あなた、わかってるわね!!私と気が合う!」
「そうだな。…先ほどは助かった。名を聞いてもよいか?」
「白蘭よ!」
「白蘭…そうか、ありがとう。そういえば先ほどの金というのは」
「人間界では、お金と物を交換して暮らすの!」
魔界では物々交換が基本だから、知らないのも無理ないわね。