天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
すでに日は落ち、周りを見ると人はまばらになっていた。
休暇は一日もらった。人間界は時間が早くすぎるからまだ帰らなくても大丈夫だわ。
「あなたは帰らなくて平気?」
「…平気だ」
月影は首から下げた石を握って答えた。表情は暗い。
何かわけがありそうね。
「じゃっ!うちで肉でも食べましょ!」
月影と共に家に帰り肉を食べながら人間界について教えた。
人間の寿命は短いから、あまりかかわってはいけないことや、私が薬を売って稼いでいることなど月影は黙って聞いた。
食事を終え、寝床に入ろうと思った時ふと気づいた。
あれ?月影って男よね。寝床は一つしかない…。
さすがに一緒に寝るわけにはいかない。
「月影。寝床使っていいわよ」
「白蘭。そなたはどこで…。」
「私は椅子で大丈夫だから」
「そんなわけにはいかない」