天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
そういうと月影が近づいてきて私を寝床に座らせた。
「私はもう帰るから」
「あ、そうなの」
ギュッと月影に手を握られる。
「私は今日ほど幸せだと感じたことはない。」
「なによ。大げさね」
「誰かに服を選んでもらったのも、人目を気にせず食事をしたことも、何もかも忘れて楽しめたのは今日が初めてだ」
「そう…。」
きっと月影は今まで相当苦労したのね。
「白蘭…また来てもよいか?」
「ええ」
答えると月影は本当にうれしそうに笑った。
「では、また会おう」
そして月影は帰っていった。
月がよく輝く夜だった。