天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~


慌てて離れて皇太子宮から逃げるように去る。


入れ替えで朱雀と会った。


「白蘭、どうした。顔が赤いぞ」

「なんでもない」


朱雀さえも目を合わせられずに顔を覆って逃げた。

それを紅蓮は面白そうに笑って見送った。

自分の部屋へ戻ろうとすると、双子の蘇芳と璃桜が立ちはだかった。


「白蘭、そなた最近調子に乗っているのではないか?」

「なにがよ」

「とぼける気?皇太子殿下に後宮に入れてもらおうと必死なのだとか」

「私が?そんなことしてないわ」

「紅蓮様には玲心様という許婚がいるのだ。卑しい八咫烏が後宮に入れてもらおうとするなど生意気な」


…紅蓮に許婚がいるなんてわかっているわよ。



< 116 / 276 >

この作品をシェア

pagetop