天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
慌てて離れて皇太子宮から逃げるように去る。
入れ替えで朱雀と会った。
「白蘭、どうした。顔が赤いぞ」
「なんでもない」
朱雀さえも目を合わせられずに顔を覆って逃げた。
それを紅蓮は面白そうに笑って見送った。
自分の部屋へ戻ろうとすると、双子の蘇芳と璃桜が立ちはだかった。
「白蘭、そなた最近調子に乗っているのではないか?」
「なにがよ」
「とぼける気?皇太子殿下に後宮に入れてもらおうと必死なのだとか」
「私が?そんなことしてないわ」
「紅蓮様には玲心様という許婚がいるのだ。卑しい八咫烏が後宮に入れてもらおうとするなど生意気な」
…紅蓮に許婚がいるなんてわかっているわよ。